越境ECでは、商品説明を翻訳しても商品画像に日本語が残っているケースが少なくありません。画像内のコールアウトテキスト、サイズ表、注意書きなどが翻訳されず、英語圏の購入者に伝わらないという問題が起きます。この記事では、商品画像と商品説明の言語ずれを体系的に見つけるための確認手順とチェックリストをまとめます。
翻訳後に起きやすい言語ずれのパターン
越境EC向けに商品ページを整備する際、翻訳対象をテキスト欄だけに限定していると、いくつかの典型的なずれが発生します。以下は実際によく見られるパターンです。
画像内テキストと説明文の不一致
商品画像(メイン画像・サブ画像)の中に「送料無料」「限定色」「新作」などの日本語テキストがバナーとして埋め込まれているのに、商品説明(description)は英語に翻訳済みというパターンです。購入者は画像の日本語を理解できず、プロモーション情報が伝わりません。
SEOフィールドの未翻訳
商品説明は翻訳したものの、SEOタイトル(page title)やメタディスクリプション(meta description)が日本語のまま残っているケースです。検索結果での表示言語と実際のページ言語が一致しないため、クリック率に影響する可能性があります。
画像の代替テキスト(Alt Text)が日本語のまま
Image Alt Text属性が日本語のまま放置されていると、スクリーンリーダー利用者や画像が表示されない環境で日本語テキストが露出します。アクセシビリティの観点からも、ターゲット言語への翻訳が必要です。
サイズ表の単位と言語
サイズ表(size chart)画像が「cm」「身幅」「着丈」といった日本語表記のまま掲載されているケースです。インチ(inches)表記への換算や、英語の測定項目名(chest width, body length など)への対応が必要です。
送料・返品ポリシーの言語
商品説明やFAQセクションで、送料や返品に関する記述だけが日本語のまま残っているパターンです。購入後のトラブルにつながりやすい部分なので、特に注意が必要です。
確認すべきCSV列と商品ページ要素
言語ずれを確認するには、ShopifyのCSVとGoogle Merchant Centerの属性を照合する必要があります。以下の表は、確認対象となる各要素と対応するCSV列・Merchant Center属性のマッピングです。
| 確認対象 | Shopify CSV列 | Merchant Center属性 | ずれが起きやすい理由 |
|---|---|---|---|
| 商品名 | Title | title | 翻訳後に元の日本語名に戻ることがある |
| 商品説明 | Body HTML | description | HTMLタグ内のテキストだけ翻訳されalt属性が残る |
| 画像URL | Image Src | image_link / additional_image_link | 画像URL自体は言語に関係しないが、リンク先画像内のテキストに注意 |
| 画像の代替テキスト | Image Alt Text | (Shopify管理、別途対応) | alt属性が日本語のまま放置されやすい |
| SEOタイトル | SEO Title(※テーマ依存) | (titleと同じ扱い) | 翻訳漏れが多い |
| メタディスクリプション | Meta Description(※テーマ依存) | (検索結果向け。商品データの description とは別物) | 日本語の説明文が検索結果に露出する |
| バリエーション名 | Option1 Name / Option1 Value | color, size など | 色名・サイズ名が日本語のまま |
image_linkおよびadditional_image_linkはMerchant Centerにおける画像URLの属性です。これらは画像のURLを指定するものであり、Alt Text(代替テキスト)とは別の属性です。Alt Textの確認はShopify側のImage Alt Text列で行います。
言語ずれの確認手順
ここでは、CSVデータと実際の商品ページを照合しながら言語ずれを見つけるためのステップバイステップの手順を説明します。
ステップ1:CSVデータの抽出
Shopifyの管理画面から商品CSVをエクスポートします。確認が必要な列は以下のとおりです。
- Title(商品名)
- Body HTML(商品説明)
- Image Src(画像URL)
- Image Alt Text(代替テキスト)
- Option1 Name / Option1 Value(バリエーション)
- Vendor(ベンダー名)
CSVをスプレッドシートに読み込み、各列の言語を確認しやすくします。
ステップ2:言語の比較とフラグ付け
各列について、ターゲット言語(英語など)で記述されているかを確認します。以下の基準でフラグを立てます。
- 日本語文字(ひらがな・カタカナ・漢字)が含まれている場合 → 要確認
- 空欄(blank)の場合 → 要入力
- 英数字のみだが意味が不自然な場合 → 要翻訳見直し
ステップ3:画像の目視確認
CSVのImage Src列のURLをブラウザで開き、画像内に日本語テキストが含まれていないかを確認します。特に以下の要素に注意します。
- プロモーションバナー(「SALE」「限定」など)
- 機能説明のコールアウト
- サイズ表
- 素材・成分表示
- ブランドロゴの読み仮名
ステップ4:修正と再確認
言語ずれが見つかった項目について、修正を行います。画像内テキストの場合は画像自体の再作成が必要です。CSVを更新したあと、再インポートしてMerchant Centerに再送信し、ずれが解消されたかを確認します。
自動で確認できる部分
言語ずれの確認作業には、スクリプトやツールで自動化できる部分があります。以下は機械的にチェック可能な項目です。
言語判定
各CSV列のテキストに対して言語判定ライブラリ(Pythonのlangdetectやlinguaなど)を適用し、ターゲット言語以外の言語が含まれているかを検出できます。日本語文字の正規表現マッチでも簡易的に判定可能です。
import re
def has_japanese(text):
return bool(re.search(r'[ぁ-ヶu4e00-u9fffu3000-u303f]', text))
# Example usage
for col in ['Title', 'Body HTML', 'Image Alt Text']:
if has_japanese(row[col]):
print(f"Japanese text found in {col}: {row[col][:80]}")
空欄の検出
Image Alt TextやMeta Descriptionが空欄の商品を一括で抽出できます。空欄は言語ずれではありませんが、ターゲット言語での入力漏れとして確認が必要です。
文字数カウント
商品説明やタイトルの文字数が極端に短い(1〜2文字など)場合、翻訳が未完了である可能性が高いです。Merchant Centerのdescriptionには文字数上限があるため、長すぎる説明やHTML由来の不要な文言が混入していないかを確認します。titleも表示枠に収まる文字数で簡潔にまとめるのが一般的です。
混在言語の検出
ひとつのフィールド内で日本語と英語が混在している場合、部分的な翻訳漏れの可能性があります。品詞レベルでの判定は難しいですが、文単位での言語切り替え回数をカウントすることで、混在度合いを指標化できます。
人間が判断すべき部分
自動判定だけでは対応できない領域があります。以下は人間の判断が必要な項目です。
翻訳のニュアンスと自然さ
機械翻訳されたテキストが文法的に正しくても、ネイティブスピーカーにとって不自然に聞こえるケースがあります。例えば「おすすめ」を「recommendation」とするより「Staff Pick」や「Our Favorite」とする方が、ECサイトのトーンに合うことがあります。この種の判断は自動化が難しく、ターゲット市場の言語感覚を持つ人による確認が望ましいです。
ブランド名の扱い
日本のブランド名をローマ字表記にするか、英語訳にするか、そのまま漢字・カタカナで残すかは、ブランド戦略に関わる判断です。「染色」を「SENSHOKU」とするか「Dyeing」とするかで、ブランドの伝わり方が変わります。この決定は、ブランド側の方針に基づいて行う必要があります。
文化的な適切性
日本のECサイトで一般的な表現が、ターゲット市場では不適切または不自然に受け取られることがあります。例えば「肌に優しい」は英語圏では「gentle on skin」で通じますが、特定のクレーム(hypoallergenicなど)を含めるかどうかは法規制にも関わるため、専門知識が必要です。
法務・税務・関税に関する記述
関税、消費税、返品ポリシー、保証規定などの記述は、法的な正確性が求められます。これらの翻訳については、本記事の範囲外とし、専門家への相談を推奨します。
確認チェックリスト
言語ずれの確認を体系的に行うためのチェックリストです。各項目について、確認対象、チェック方法、自動か手動か、注意点をまとめています。
| 確認対象 | チェック方法 | 自動/手動 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 商品名(Title) | 言語判定スクリプト | 自動 | ブランド名は例外として扱う |
| 商品説明(Body HTML) | 言語判定+文字数チェック | 自動 | HTMLタグ内のalt属性も確認 |
| 画像内テキスト | 目視確認(ブラウザで画像を開く) | 手動 | バナー、コールアウト、サイズ表に注意 |
| Image Alt Text | 言語判定スクリプト | 自動 | 空欄も入力漏れとして扱う |
| バリエーション名(色・サイズ) | CSV列の照合 | 自動 | 「赤」「青」→「Red」「Blue」など |
| SEOタイトル | 言語判定スクリプト | 自動 | テーマ依存で列名が異なる場合あり |
| メタディスクリプション | 言語判定+文字数チェック | 自動 | 検索結果に露出するため優先度高 |
| サイズ表画像 | 目視確認 | 手動 | 単位(cm/inch)と言語の両方を確認 |
| 送料・返品ポリシー | 目視確認 | 手動 | 法的正確性は専門家に確認 |
| 翻訳の自然さ | ネイティブ確認 | 手動 | トーン&マナーの一貫性 |
自動チェックで言語の不一致を抽出したあと、手動で目視確認と翻訳の品質レビューを行う、という2段階のフローを推奨します。
相談時に用意するとよい情報
言語ずれの修正や翻訳方針の策定について相談する際は、以下の情報を事前にまとめておくと話がスムーズに進みます。
- 対象商品数とカテゴリ — 何SKUを対象とするか、どのカテゴリの商品か(アパレル、雑貨、食品など)
- ターゲット言語と市場 — 英語(US/UK)、中国語(簡体/繁体)、韓国語など、どの市場向けか
- 現在の翻訳フロー — 手動翻訳、機械翻訳+手直し、翻訳ツール使用のいずれか
- 画像作成の体制 — 画像内テキストの修正を自社でできるか、外注か
- Merchant Centerの警告・不承認状況 — 現在フィードにエラーや警告が出ている場合はその内容
- ブランド名・固有名詞の表記方針 — すでに決まっている場合はそのルール
初回相談では機密CSVやスクリーンショットの送付は不要です。上記の項目について、テキストで概要を共有いただければ着手可能です。
参考にした公式情報
- Google Merchant Center Help: Image link [image_link]
- Google Merchant Center Help: Product data specification
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