日本語ストアから英語圏へ商品を出すときの商品データ注意点

日本語で運用しているShopifyストアの商品を、英語圏(米国・英国・豪州など)向けにMerchant Centerへ送る場合、商品データのどの項目を翻訳し、どの項目をそのまま使うかの整理が最初の工程になります。単純に全項目を機械翻訳にかけるだけでは、ブランド名のゆらぎや単位の不一致で不承認が出やすくなります。本稿では、英語圏向けフィードを作る際に確認すべき項目を、翻訳対象と非翻訳対象に分けて整理します。


翻訳対象と非翻訳対象の分類

商品データの項目は、英語圏向けに必ず翻訳・変換が必要なものと、日本語のままで問題ないものに分かれます。以下の表で区分を確認します。

項目 英語圏向けの対応 注意点
title(商品名) 翻訳が必要 英語圏の検索習慣にあわせた語順に調整。ブランド名は後述のルールに従う
description(商品説明) 翻訳が必要 素材・用途・特徴を英語で自然に記述。プロモーション文は除去
product_type / google_product_category 英語が推奨 Google商品カテゴリは英語の分類IDまたは英語名を使用
サイズ・寸法(size、カスタム属性) 単位変換が必要 cm → inches、kg → lbs、g → oz など。表記も「S / M / L」の基準が日本と異なる場合がある
price 通貨変換が必要 JPY → USD等。為替レートの更新頻度と端数処理を決めておく
画像内テキスト(商品画像・比較画像) 確認が必要 画像に日本語が含まれていると英語圏の購入者に伝わらない
brand(ブランド名) そのまま ブランド名は無理に翻訳しない。ローマ字表記がなければヘボン式等で統一
GTIN / MPN そのまま 国際標準の識別子なので変更不要
image_link(URL) そのまま 画像URLは共通。ただし画像内容の確認は上記のとおり
shipping 再設定が必要 国際配送料と日数を英語圏向けに別途設定

GTINやブランド名はそのまま使えるため、翻訳の手間を省けます。反面、titleとdescriptionは購入者が直接目にするテキストであり、翻訳品質がクリック率や转化率に直結します。


商品名(title)の翻訳

日本語のtitleを英語に翻訳する際、語順の違いに注意が必要です。日本語では「ブランド名 + 商品カテゴリ + 特徴」の順が一般的ですが、英語圏では主要キーワードを前に置く傾向があります。

翻訳時のポイント

  • ブランド名は翻訳しない — 「山田鞄」を「Yamada Bag」と訳すと、実際のブランド名と乖離し、ユーザーの検索時に混乱を生む。ブランド名はローマ字表記または公式の英語名をそのまま使う
  • 素材・色・サイズを英語の自然な語順に — “Cotton T-Shirt, Blue, Size M” のように、英語圏の検索習慣にあわせた配置にする
  • 日本固有の言葉には補足を — 「浴衣」「風呂敷」等は、そのままローマ字にするか “Yukata (Japanese Summer Kimono)” のように簡潔な説明を添える

商品説明(description)の翻訳

descriptionは単なる直訳以上の工夫が求められます。英語圏の購入者にとって、素材の産地名や日本の規格表記は馴染みがない場合があるため、わかりやすい表現への置き換えが必要です。

  • 素材表記の統一 — 「綿100%」は “100% Cotton” に。「ポリエステル」は “Polyester” に。日本のJIS規格番号は英語圏の消費者には意味を持たないため、素材名そのものを記載する
  • 用途・シーンの明示 — 日本語では暗黙に伝わる用途も、英語では明記した方がよい場合がある。「ギフト対応」といった表現は “Gift wrapping available” のように明示する
  • 表現のトーン — 日本語の丁寧な説明文を直訳すると、英語としては冗長になることがある。簡潔な事実ベースの記述に絞る

サイズ・寸法の単位変換

日本と英語圏(特に米国)では、サイズ表記の基準が大きく異なります。変換ミスは返品・クレームに直結するため、特に慎重に扱います。

測定項目 日本の表記 英語圏(米国)の表記 変換の目安
長さ・寸法 cm(センチメートル) inches(インチ) 1 cm ≈ 0.3937 in
重量 g / kg oz / lbs 1 kg ≈ 2.2046 lbs、1 g ≈ 0.0353 oz
アパレルサイズ S / M / L / LL XS / S / M / L / XL / XXL 日本のLは米国のM〜Lに相当。実測値の併記が安全
靴のサイズ JP(cm表記) US / UK / EU 変換表の用意が必須。JP 25.0 ≈ US 7.0(メンズ)等

アパレルや靴の場合、サイズ表(size chart)を商品ページに併設することで、サイズ不一致による返品を減らせます。可能であればcmとinchesの両方を記載したサイズ表を画像またはテキストで用意します。


商品画像内のテキスト問題

商品画像に日本語が含まれている場合、英語圏の購入者には情報が伝わりません。特に以下のケースに注意が必要です。

  • 素材・成分の日本語表記 — 画像内に「綿100%」「成分表」などが日本語で書かれていると、英語圏の消費者は素材を確認できない
  • 使い方・手順の日本語説明 — 商品の使い方を説明する画像が日本語のみの場合、購入後のトラブルにつながる
  • サイズ比較画像 — 人物とのサイズ比較画像の注釈が日本語だと、寸法の参考にならない

対応策としては、テキストを含まない画像をメイン画像に使い、テキスト付き画像は補足画像に回す方法があります。商品数が多い場合は、主要商品のみ英語版画像を用意し、それ以外はテキストなし画像で対応する段階的なアプローチも現実的です。


ブランド名の取り扱い

日本のブランド名は、そのままローマ字で出すのが基本です。ただし、いくつかのパターンによって対応が変わります。

  • すでに英語名(ローマ字)がある場合 — そのまま使用。「MUJI」「UNIQLO」等は何も変える必要がない
  • 漢字・ひらがなのブランド名の場合 — ヘボン式ローマ字または公式の英語表記を使用。「大塚家具」は “Otsuka Furniture”、「無印良品」は “MUJI” のように、公式の英語名があればそちらを優先
  • ブランド名に翻訳を含めない — ブランド名を翻訳すると、既存の認知と乖離する。検索での合致率も下がるため、品牌名はそのまま維持する

自動化できる部分と人手が向く部分

自動化に向く 人手の確認・作業が向く
価格の通貨変換(為替レート適用・端数処理) title の翻訳・語順調整
サイズの単位変換(cm → in 等) description の翻訳・トーン調整
GTIN / MPN / brand の共通項目転記 ブランド名のローマ字表記の統一
フィードファイルの自動生成・Merchant Center送信 画像内テキストの確認・英語版画像の作成
google_product_category のIDマッピング サイズ表の多言語対応・実測値の確認

単位変換や通貨計算はスクリプトやアプリで処理できますが、titleやdescriptionの翻訳は自動翻訳をベースに人手で補正する流れが現実的です。とくに商品数が数十を超える場合は、主要商品だけを人手で仕上げ、残りを自動翻訳+簡易確認で回す二段構えが管理しやすくなります。


文化的な配慮

商品データの翻訳にあたっては、言語だけでなく文化的な文脈の違いも考慮に入れます。

  • 色名の感覚の違い — 日本の「生成り」や「杢目」は、英語圏では “Natural” “Oatmeal” 等の一般的な色名に置き換えた方が検索されやすい
  • 「日本人向け」「日本製」の表記 — 英語圏向けフィードでは “Made in Japan” は品質のアピールになるが、「日本人の体型に合わせた」等の表現は “Designed for a comfortable fit” のように汎用化する方が自然
  • 季節商品のタイミング — 日本の春夏秋冬と北米・豪州では季節のタイミングが異なる。オーストラリア向けに「夏向け」を売りに出すときは、時期のズレを意識する

相談時に用意するとよい情報

日本語ストアの商品を英語圏向けに展開する際のご相談では、以下の情報があると方針の検討が進めやすくなります。

  • 展開予定の対象国(米国・英国・豪州など)
  • 商品のおおよその点数と主要カテゴリ(アパレル、雑貨、食品など)
  • 現在の翻訳体制(機械翻訳のみ / 外部翻訳サービス利用 / 社内対応など)
  • サイズ展開の有無(アパレル・靴の場合)
  • 商品画像に日本語テキストが含まれている割合

初回相談では機密CSVやスクリーンショットの送付は不要です。商品カテゴリと対象国の概要をお伝えいただければ、まずは翻訳・変換の方針整理から始められます。


日本語ストアから英語圏への商品展開は、翻訳対象と非翻訳対象を明確に分けること、単位と通貨の変換ルールを決めること、画像内の日本語テキストに目を向けることの3つが最初の要点です。全商品を一度に完璧にしようとするより、主要商品から段階的に進める方が運用上無理がありません。

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