翻訳アプリで自動翻訳した後に人間が見るべき点

翻訳アプリで商品データを一括翻訳すると、作業時間は大幅に短縮できます。ただし、翻訳結果をそのまま本番環境に反映すると、ブランド名の誤訳や規格の表記ミスが原因で広告不承認につながる可能性があります。本記事では、自動翻訳後に「機械で確認できる部分」と「人間が判断すべき部分」を分けて解説します。

自動翻訳でよく起きる問題

翻訳アプリは一般的な文章には強いものの、EC特有の表記に対しては意図しない結果を出力することがあります。よくある問題をいくつか挙げます。

ブランド名が翻訳されてしまう

「UNIQLO」や「MUJI」などのブランド名が、「ユニクロ」「無印良品」と翻訳されるケースがあります。Merchant Centerではブランド名は正式表記で登録する必要があるため、このズレはデータ品質の低下につながります。

サイズ単位の変換ミス

日本の「cm」表記が「inches」に自動変換されたり、逆に変換されずにそのまま残ったりします。日本国内向けデータであれば単位の統一が重要です。

カラー名の不自然な表現

「ネイビーブルー」が「Navy Blue」と翻訳されたのち、さらに別の言語へ再翻訳されると「海軍の青」のような直訳になることがあります。色彩名はブランドのカラーパレットに沿った統一表記が必要です。

素材・仕様の不正確な翻訳

「綿100%」が「Cotton 100%」になるのは正しいですが、「ポリウレタン混」が「Polyurethane mix」となると、本来の「混率」のニュアンスが伝わらない場合があります。素材表記は規格に沿った正確な用語が求められます。

法律・コンプライアンス関連のテキスト

「返品不可」や「医療機器ではありません」のような法的な文言は、自動翻訳で意味が変わってしまうとトラブルの原因になります。この領域は特に人間による確認が欠かせません。

翻訳後に確認すべきCSV列

Shopifyの商品CSVを例に、翻訳後に重点的に確認すべき列をまとめます。

CSV列 翻訳時の注意点 確認の優先度
Title ブランド名の保持、商品名の自然さ
Body HTML HTMLタグの保持、説明文の正確性
Vendor ブランド名は元の表記を維持
Tags タグの統一表記、翻訳不要タグの除外
SEO title 文字数制限(60文字推奨)、キーワードの保持
meta description 文字数制限(160文字推奨)、訴求内容の保持
Image Alt Text 画像の内容に合った代替テキスト
Variant Price 通貨表記、桁区切りの確認
Option1 Name / Value サイズ・カラー名の統一
image_link URL属性であり翻訳不要。そのまま維持
additional_image_link URL属性であり翻訳不要。そのまま維持

image_linkadditional_image_linkは画像のURLを示す属性であり、Altテキストではありません。これらの列は翻訳対象外としてそのまま維持してください。

自動で確認できる部分

以下の項目は、スクリプトや翻訳アプリの機能で機械的にチェックできます。人間が目で追う前に、自動チェックで潰しておくと効率的です。

空フィールドの検出

翻訳対象列に空のセルが残っていないかを確認します。元のテキストが空だった場合、翻訳後も空のままになるため、意図的な空欄か翻訳漏れかを判別する必要があります。

言語混在の検出

一つのセル内に日本語と翻訳先言語が混在していないかをチェックします。「このproductは〜」のような中途半端な翻訳結果を検出できます。

文字数カウント

SEO titleは60文字、meta descriptionは160文字が概ねの目安とされています。文字数を自動カウントして超過・不足をリストアップします。

フォーマットの整合性

価格の桁区切り、日付フォーマット、サイズ表記(S/M/L や cm/mm)が列内で統一されているかを確認します。混在があるとMerchant Centerのデータ品質に影響する可能性があります。

ブランド名リストとの照合

あらかじめ翻訳不要語リスト(ブランド名、素材名の英語表記など)を用意しておき、それらが翻訳されていないかを自動検証できます。リスト照合は正規表現や単純な文字列比較で実装可能です。

人間が見るべき点

自動チェックを通過したデータでも、人間の目で確認すべき領域があります。ニュアンスや文脈に関わる部分は、まだ機械では判断しきれないことが多いです。

ブランド名・固有名詞の扱い

ブランド名はMerchant Centerの登録情報と一致させる必要があります。自動チェックで「翻訳されていない」ことは確認できても、「正しい表記か」までは判断できません。公式サイトの表記と照らし合わせる作業が必要です。

技術仕様の正確性

素材の混率、耐荷重、防水性能など、数値を伴う仕様は誤訳が直接クレームにつながります。「ポリエステル65%・綿35%」が「ポリエステル35%・綿65%」のように逆転していないか、人間が確認する必要があります。

文化的な適合性

「季節のおすすめ」「人気No.1」のようなキャッチコピーは、翻訳先の文化・言語感に合った表現に調整する必要があります。直訳すると不自然になったり、意図とは違う印象を与える場合があります。

法律・コンプライアンス関連テキスト

返品ポリシー、医療機器免除表示、アレルギー情報などは、翻訳の誤りが法的な問題につながる可能性があります。「返品不可」が「Refund available」になっていないか、「医療機器ではありません」が「Not a medical device」で通じるかなど、文脈を含めて確認します。

商品説明の自然さ

Body HTMLに含まれる商品説明は、購買意欲を左右する重要な要素です。文法は正しくても「売り文句として弱い」「不自然に硬い」といった問題は人間の感覚でしか判断できません。

画像Alt テキストの内容適合性

Image Alt Textは、画像の内容を正確に説明しているかが重要です。商品画像に対して「美しい写真」のような汎用的なAltテキストが設定されていないか、商品名と色・サイズが正しく反映されているかを確認します。

翻訳後の確認ワークフロー

翻訳後の確認は、以下のステップで進めるのが効率的です。

  1. 自動チェックを実行:空フィールド、言語混在、文字数、フォーマット、ブランド名リスト照合をスクリプトで一括検証する。
  2. 自動チェック結果の修正:検出された問題をCSV上で修正する。この時点でフォーマット系の問題は解消しておく。
  3. 人間レビューの対象を絞り込む:自動チェックを通過した行のうち、優先度の高い列(Title、Body HTML、Variant関連)から確認する。
  4. 人間レビューを実施:ブランド名、技術仕様、法的テキスト、商品説明の自然さを目視で確認する。複数人で分担できる場合は、列単位で担当を分けると効率的です。
  5. 修正をCSVに反映:人間レビューでの修正内容をCSVに書き戻す。修正漏れを防ぐため、変更箇所はセルの色やコメントでマークしておくとよいです。
  6. 最終検証:修正後のCSVを再度自動チェックにかけ、エラーがないことを確認してからインポート・アップロードを実行する。

このワークフローを回すことで、自動チェックで処理できる部分を減らし、人間の確認工数を本来必要な箇所に集中させることができます。

翻訳後確認チェックリスト

以下のチェックリストは、翻訳後の確認作業で使い回せるよう項目を整理したものです。

確認項目 自動 / 人間 確認内容
空フィールド 自動 翻訳対象列に空セルがないか
言語混在 自動 1セル内に複数言語が混在していないか
文字数制限 自動 SEO title 60文字、meta description 160文字以内
フォーマット統一 自動 価格・日付・サイズ表記が列内で統一されているか
ブランド名保持 自動 + 人間 翻訳不要語リストと照合 + 公式表記と一致するか
Title の自然さ 人間 商品名として自然な日本語・翻訳先言語になっているか
Body HTML の正確性 人間 HTMLタグが保持され、説明文に誤訳がないか
技術仕様 人間 素材・サイズ・数値が正確に翻訳されているか
カラー名 人間 ブランドのカラーパレット表記と一致しているか
Tags 自動 + 人間 翻訳不要タグの除外 + タグ表記の統一
Image Alt Text 人間 画像内容に合ったAltテキストが設定されているか
法律・コンプライアンス 人間 返品ポリシー、免除表示などに誤訳がないか
URL属性(image_link等) 自動 URLが翻訳されておらず、そのまま維持されているか
Variant Price 自動 + 人間 通貨・桁区切りのフォーマット + 価格の妥当性

このリストをスプレッドシートにコピーし、確認済みの項目にチェックを入れていく運用をおすすめします。

相談時に用意するとよい情報

翻訳後の確認作業で行き詰まった場合、以下の情報を用意して相談するとスムーズです。

  • 翻訳元と翻訳先の言語の組み合わせ
  • 問題が起きているCSV列名と、実際の出力例(3〜5行程度)
  • 使用している翻訳アプリまたはAPIの名称
  • Merchant Centerのデータ品質レポートに表示されているエラー(もしあれば)

機密CSVやスクリーンショットの送付は不要です。商品名や価格などの具体例をマスキングした上で、テキスト形式で共有していただければ対応可能です。

自動翻訳は強力なツールですが、出力の最終確認は人間の判断が欠かせません。本記事のチェックリストを参考に、自動で済む部分と人間が見る部分を明確に分けて確認作業を進めてみてください。

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